模型を使い公園概要を中前総領事(右端)に説明する松尾氏(その左)
資金不足の中で2018年には完成予定

宮坂国人財団初の事業として、2008年の日本人移民100周年を念頭に構想が練られていた「イミグランテス・エコロジコ公園」プロジェクト。各種許可の取得などに時間を要し、作業が進まずにいたが、3年前に工事が始まった。サンパウロ(聖)州イミグランテス街道沿いにある同公園は、現在までに入口部分と遊歩道、ケーブルカーの設置工事が完了している。10日には在サンパウロ日本国総領事館の中前隆博総領事や日系団体の会長らが招待され、同公園を見学した。
当日は中前総領事をはじめ、ブラジル日本文化福祉協会の呉屋春美会長、ブラジル日本都道府県人会連合会の山田康夫会長、日伯文化連盟の大城幸夫会長、サンタ・クルス病院の石川レナト理事長ら日系団体の代表らが同公園を訪れた。
同公園のプロジェクト企画は、聖州モジ・ダス・クルーゼス市のネブリナス公園などを手がけた環境関係のコンサルタントチームが担当。施設建設にあたっては捨てられたプラスチックや、木材切断時に出た木屑などの素材でできた板を使用している。作業に機械などは一切使わず、すべて人力で行われているのが特徴。また、公園内で消費される電力は太陽光や風力発電で賄うなど、徹底して自然や環境に配慮した工夫がなされている。
各所の整備、視覚障害者用設備の工事がまだ残っているが、エレベーターなど歩行障害者用の設備を含め、高台に上るケーブルカーの設置工事までが終了している。高台には、訪れた学校の生徒が学習できるスペースなどが設けられ、屋根部分を残してほぼ完成している。
残るは「セル」と呼ばれる八角形の建物の設置だが、こちらは資金不足などもあり、工事が遅れている。同財団の松尾治執行理事はセルの建設について、プロジェクトの全体費用(約1600万レアル)のうち、約600万レアルが足りないと話し、「コンピューター室と展示室、講堂を造る予定だったが、今はコンピューターを持つ人は多く、3つも必要ないと思う」と縮小する考えがあると明かした。
訪れた中前総領事らは、環境コンサルタントの案内で公園内を視察。「原生林を間近に見られる貴重な体験だった。昔の移民はこのような森林を開拓していったのではないかと思うと、感慨深いものがある」と感想を話し、「自然を楽しみながら問題提起をするという姿勢は敬意に値する。これからの日系人の心意気を示す一つの形として一日も早い完成を願う」と期待を述べた。
コンサルタントのリカルド・マルフィ氏の話では、300メートルある遊歩道脇にはこれから暖かい季節を迎えると、マナカの花など多くの色彩豊かな花々が咲き誇るという。また、遊歩道の中間は道が二手に分かれた菱形になっており、真ん中の空洞部分に植林することで、さらに自然を豊かにする案もあると話した。
見学を終えたブラジル日本商工会議所の樹神幸夫環境委員長は、「一通り見て、建設や維持面など多くの点で難しい面があると思った」と率直な感想を語った。しかし、財団側もそれは認識しているので心配はないとし、「環境対策は世界的な潮流であり、それをブラジル政府ではなく日系財団がやることに意義を感じる。会議所としても環境問題に対応し、この先を見守って行きたい」と話した。
松尾理事は「とにかく中前総領事に最初に見てもらいたかった。今後は南米銀行の元職員や県人会、企業などに公開して広く広報し、資金を募っていく」とした。2018年は同財団設立20周年の節目の年。それまでには完成させる意向で、「たとえ、お金が集まらなくても完成させる。何とか早く完成させて、皆さんに早く見てもらいたい」と思いを語った。
サンパウロ新聞 2016年10月15日付
